進化する審美治療インプラント
出版社:オースリー出版(2004/3)
発売日:2004/3
インプラントのことを特殊な治療方法だと考えていらっしゃる方が、我が国には、まだたくさんいらっしゃるようです。しかし一方で、平均寿命が世界一になった日本の実情をみると、産地直送の素材の味を引き出したスローフードブームや、いつまでも美しくありたいと願う女性むけの生活雑誌や健康雑誌のブームなど、「自分の人生を華やかに彩りたい」という切なる欲求は年を追うごとに高まっています。この要求を満たす治療こそ、第3の永久歯といわれ、注目を集めているインプラント治療です。ですから、インプラントについて知る努力をしないということは、自ら華やかな生活を放棄するということに他ならないのではないでしょうか。
そう考えると、もはやインプラントは、21世紀を代表する治療法であるといっても過言ではありません。現在、世界中で報告されている臨床例や研究例、科学技術庁の研究補助により開発されたインプラント材なども、それを裏付ける大きな材料となるでしょう。
そんな技術の進歩をよそに、わが国では"8020運動"(80歳になった時、自分の歯が20本は残るようにしようという運動)を起こさなければ、日本人の歯の未来が心配になるぐらいに、歯への意識は低いと言わざるをえません。アメリカでは歯への関心が高く、歯科医療費の80パーセントは審美治療に使われているという事実があるにもかかわらずです。不況により、暗いムードが漂いがちな現在の日本だからこそ、スマイルの価値を今一度考え直す時がきているのではないでしょうか。
口元からこぼれる健康的な白い歯による極上のスマイル......この章では、そんな笑顔作りのお手伝いをするインプラントについて、分かりやすく説明していきたいと思います。
「インプラントとは何か」を簡単に言うなら、失った歯の代わりにチタンなどでできた人工歯根をもともと歯があった部位に埋め込み、埋め込んだ人工歯根と自分の骨がなじんだら、その上に歯を作る治療法だということができます。歯が1本だけ欠けてしまった時、また、全ての歯を失ってしまった場合でも、インプラント治療は可能です。また、咬み合わせの悪い差し歯や入れ歯を、インプラントに変更することだって可能です。
しかも、インプラントは骨としっかり固定されていて動揺がないため(これをオッセオインテグレーションといいます。)、入れ歯のようにはずれやすかったり、噛みにくかったり、異物感を感じることがありません。まるで自分の歯のように感じることができるので、第3の歯とも第2の永久歯とも言われています。
簡単な外科手術で、手に入れることができる精神的・肉体的メリットには、はかりしれないものがあります。しゃべりやすくなったり、入れ歯のように煩わしい洗浄作業がなくなるという点も大きいといえるでしょう。